シン、と静まり返った部屋。耳を澄ませてみても何も聞こえて来ない。
シャッ、て音を立ててカーテンを一気に開ける。眩しい陽が入って来て、思わず瞳を瞑った。
「……スッゲー……朝だぁ……」
テレビを点けて感嘆の呟き。
画面に映し出されたのは、若くてまだ初々しさが見られる女のアナウンサー。
原稿を読んでる途中で頻繁にとちったりしている割に、狙ってる感じがなくて好印象。かな。
朝のニュース番組を見るなんていつぶりだろう。こんな時間に起きてる自分に驚きだ。
「……メシ」
確か昨日食パン買って来たよな。あとジャム。
あまり甘いのがたっぷりなのは好きじゃないから、食パンにはちょっとだけ苺ジャムを塗る。
テレビをぼんやりと眺めながらそれを囓った。
「……なーんかなぁ……」
不味いわけじゃないのに、なんか味気無い。コーヒーもちょっと苦い感じ。
「これも全部アイツのせいだっ」
いつもよりも早く目が覚めちまったのも、メシが美味くないのも、全っ部アイツが悪い!
……ってのはちょっと理不尽かもしんないけど。
「久保ちゃんのバカやろー」
そう言いたくなるのは仕方ないと思う。
今この部屋に久保ちゃんはいない筈なのに、凄い存在感っていうか、そういうのがあるんだ。
だってさ、アイツが出掛けたのって昨日の夕方だぜ?なのに部屋ん中は煙草の匂いが充満している。
アイツを思い出すなってのは無理な話だ。
だから全部久保ちゃんが悪い。
我ながら言ってることおかしい気がするけど、んなことどうだっていいや。
メシの片付けをして、テレビの電源ボタンを押す。
すると、俺しかいない部屋ん中は凄い静かになった。
ぼふっ、って音を立ててソファに身体を沈ませる。
「……煙草」
ソファにまで匂いが染み付いてやがる。なんか俺の服にまで付いてる感じ。
ちゃんと洗ってんだけどなぁ………久保ちゃんが。
「……だあぁーっ!!くっそ!!」
なんか知んねーけどムシャクシャする。
拳でソファを叩いたら、ボフッ、ってさっきよりもこもった音がした。
「………換気だ」
思い立ったら即行動。窓を全開にする。
そしたら、朝!って感じの気持ちいい風が入って来た。
「おー涼しい〜!」
カーテンが穏やかにはためく。
これで少しは匂いも消えっかな。
でも、どうせまたすぐ煙たくなるんだろうけど。
「……ま、嫌じゃないからいいんだけどさ 」
up 08.06.22