「あぁーっ!!さっきも言ったばかりだろ!?」
声を荒げて時任が叫んだ。と同時に、俺の手中にあったものを取り上げる。
「それ、さっき火付けたばかりなのに」
「知るか!」
そう言って、まだだいぶ長さのある吸い殻を吸い皿に押し付ける。
最後にジュッて音を立てて、赤い光が消えた。
「久保ちゃん」
「んー?」
「今の、何本目だった」
「あー……13、くらい?」
「10本までって言っただろーが!!」
うん、まあ、確かに言われたね。今日から1日10本まで、って。
でもね、あれって一方的だったよね?俺はいいなんて言った覚えはないんだけど。
「久保ちゃん」
「うん」
「あのな。俺は別に嫌がらせをしてるわけじゃないぞ。お前のことを思って言ってやってんだからな」
うん。一応それは理解してるよ。
「このままほっとくと久保ちゃん死んじまうんだぞ!?」
んな大袈裟な。
そんな柔な身体してないよ、俺は。
「時任。とりあえず座って?」
「ヤダ」
即答しないでよ。
「久保ちゃんが約束するまで座らねえ」
どこの駄々っ子ですか。
「わかった。約束する」
「…………ホントか?」
そんな疑わしげな瞳で見ないでくれるかな。そんなに俺って信用ない?
「大丈夫。ちゃんと煙草は1日15本まで、って約束するって」
「増えてる増えてるっ!!」
あら、気付かれちゃった。
ホントこういうことにはしっかりしてるのね。
「……マジでさ、なんとかならねぇの?」
突然、時任の声色が真面目なものになった。見上げてみると、表情も真剣。
俺の思っていた以上に、コイツは俺のことを心配してくれていたようだ。
「……あのさ」
俺が呟くと、時任が眉を顰めながら顔を窺ってきた。
「独りにしないから」
「……え……?」
「もう習慣になっちゃってるからさ、今更だけど。でもね、お前を置いて逝ったりなんてしない」
瞳を真っ直ぐ見つめる。
「安心していいよ」
すると、見る見る顔を赤に染める時任。
わあ……面白いくらいに真っ赤だわ。
「な……ばっ、お前……っ」
まともに言葉を発することが出来ないみたいで、口をパクパクとさせるばかり。
そんな時任の腕を掴んで引き寄せる。すると、簡単に時任は俺の腕の中に収まった。
「……久保ちゃん……」
時任が見上げてくる。
「ねえ時任」
「………んだよ」
「もう少し、付き合ってね?」
お前が言う、愚かな惰性ってヤツに。
「……とことん付き合ってやらぁ」
up 08.02.25